本文へスキップ
株式会社JQITCorporate
CLAUDE.mdAI駆動開発ClaudeCodeプロンプト設計

AIへの指示書は、厚くするほど効かなくなる

執筆:株式会社JQIT(技術広報)

AI への指示書(CLAUDE.md)は厚くするほど守られなくなります。公式が示す分量の目安、守られない指示を仕組みで縛る考え方、モデル更新で不要になる指示まで、実測をもとに整理しました。

AI コーディングツールを業務に入れると、多くのチームが同じことをします。指示書を厚くするのです。

「こういう書き方をして」「テストは必ず通して」「コミット前にこれを確認して」。ルールが増えるたびに、プロジェクトの CLAUDE.md(AI に渡す指示ファイル)が長くなっていきます。

ところが測ったデータを見ると、厚くするほど効かなくなっていました。

この記事は、これまで公開してきた検証記事4本を、1つの流れにまとめ直したものです。個別の詳細は、それぞれの記事にリンクしています。

1.「20項目以上」と「8行で十分」、どちらが正しいか

指示書の分量について調べると、正反対の主張が見つかります。

  • A「20項目以上のテンプレートを用意し、役割・規約・テスト戦略・セキュリティまで網羅すべき」
  • B「8行で十分。増やすより削るほうが効く」

どちらも自信を持って書かれています。公式ドキュメントを読み直すと、決着がつきました。

target under 200 lines per CLAUDE.md file. Longer files consume more context and reduce adherence.(1ファイルあたり200行未満を目標とする。長いファイルはコンテキストを消費し、遵守率を下げる)

「長く書くほど守られなくなる」と、公式が明記しています。 短く保つ側が正しいということです。

ただし理由を知らずに短くしても意味がありません。毎リクエストのコンテキストに載ることと、指示が増えるほど1つあたりの重みが下がることの2つが効いています。詳細は CLAUDE.md は21セクションか、8行かにまとめました。

なお現行のモデルでは、書くとかえって逆効果になる指示もあります。これは3章で触れます。

2. 長い指示書は、実際に守られない

「守られなくなる」は感覚の話ではありません。測った研究があります。

長い指示書を渡しても、守られるのは3回に1回でした。最良のモデルで 36.2%、多くは 25% を下回ります。

しかも失敗の仕方が4パターンに分かれていました。目の前の依頼に負ける / チェック結果を無視する /確認を飛ばす / 守っていないのに「守った」と言う。 最後のものが特に厄介です。

詳細は CLAUDE.md を厚くしても意味がなかった話に書いています。

ここから引き出せる実務的な結論は1つです。

指示書に書いても守られないものは、指示書に書くべきではありません。 仕組みで縛るべきです。

やりたいこと

指示書に書く

仕組みで縛る

コーディング規約

適する

本番環境に触らせない

効かない

権限設定で拒否する

コミット前に必ずテスト

効かない

フックで実行する

公式ドキュメントも同じことを言っています。

To block an action regardless of what Claude decides, use a PreToolUse hook instead.(Claude の判断にかかわらず動作を止めたいなら、代わりに PreToolUse フックを使うこと)

「お願い」で書いた制約は、守られる保証がありません。

3. モデルが賢くなると、指示が不要になる

もう1つ、指示書が厚くなる原因があります。過去に必要だった指示が、消されずに残ることです。

長く使われてきた定番のテクニックに「最後に必ず検証して」という指示があります。これを外して比較したところ、新しいモデルでは指示なしでも検証していました。

「最後に検証して」はもう書かなくていいに、その比較を載せています。

指示書は書き足す運用になりがちですが、定期的に削る運用も要ります。モデルが更新されるたびに、不要になった指示が増えていきます。

4. そもそも、指示書だけでは限界がある

ここまでの3つは、すべて「指示の書き方」の話です。その外側があります。

AI に仕事を任せる仕組みは、4つの層に分かれます。

何を設計するか

プロンプト

1回の指示の書き方

コンテキスト

AI に渡す情報(指示書はここ)

ハーネス

使える道具と、守らせる枠

ループ

繰り返しの回し方

指示書は2番目の層にすぎません。

「本番に触らせない」が指示書で効かないのは、それが3番目の層(ハーネス)の仕事だからです。層を間違えると、いくら書いても効きません。

全体像は プロンプトの次は何を学べばいい?で整理しています。

まとめ

  • 公式が「200行未満」を目標として明記している。 長いほど遵守率が下がる
  • 指示書に書いても守られないものは、仕組みで縛る。 権限設定やフックの仕事
  • モデルの更新で不要になった指示は削る。 書き足すだけの運用にしない
  • 指示書は4層のうちの1つ。 層を間違えた指示は、何行書いても効かない

指示書の厚さは、成果と比例しません。書くべきものと、仕組みに落とすべきものを分けることが要点です。

各項目の検証データは、リンク先の記事に実測値を載せています。

生成AIを実務で使える形にするまでを、伴走して支援しています。

生成AIの導入支援・内製化支援について見る

同じような課題をお持ちですか。

現状の整理からご相談いただけます。まずはお気軽にお問い合わせください。