AIの料金は、使い方で何倍も変わる
執筆:株式会社JQIT(技術広報)
AIの料金表には1単位あたりの値段が載っていますが、請求額はそれだけでは決まりません。どのモデルに頼むか、途中で乗り換えるか、前の内容を使い回せるか。実測をもとに、同じ仕事でも費用が何倍も変わる理由を整理しました。
AI の料金表には、読み込んだ量と書き出した量それぞれに、1単位あたりの値段が載っています。 見積もりを作るときは、ついこの値段だけを見て比べたくなります。
ところが測ってみると、同じ仕事でも使い方しだいで費用が何倍も変わりました。 値段そのものより、どう使うかのほうが請求額を大きく動かします。
この記事は、これまで公開してきた実測の記事を、費用の観点でまとめ直したものです。 個別の詳細は、それぞれの記事にリンクしています。
1. どのモデルに頼むかで、9倍変わる
同じ小さな仕事(ログを読んで行数を数え、ファイルに書く)を、選べる12のモデルにさせました。
費用 | |
|---|---|
いちばん安いモデル | $0.03 |
いちばん高いモデル | $0.28 |
同じ答えを出すのに、9.2倍の開きがありました。 高いモデルほど正確とも限らず、この仕事ではほとんどのモデルが正解しています。
まず「この仕事にどの程度のモデルが要るか」を決めるのが、いちばん効きます。
詳細は Claude Code で選べる12モデルに同じ仕事をさせたにまとめました。
2. 途中で乗り換えると、その1回だけ高くつく
AI は、会話の前半で読んだ内容を使い回す仕組みを持っています。使い回せた分は安く済みます。
ところが途中でモデルを切り替えると、この使い回しが効かなくなります。 測った結果です。
読み込み直した量 | |
|---|---|
同じモデルで続けた | 197 |
別のモデルに切り替えた直後 | 56,584 |
切り替えた直後の1回だけ、読み込み直しが287倍になりました。 しかも請求は切り替えた瞬間ではなく、次に話しかけたときに来るので、気づきにくい。
作業の途中でモデルをこまめに変えないのが、それだけで節約になります。
詳細は モデルを切り替えると、そのターンだけ書き直しが287倍に書いています。
3. 「〇%安い」は、使い回しが効くかで変わる
新しいモデルの発表には、よく「前のモデルより〇%安い」と書かれます。ある新モデルは「40%安い」と発表していました。
同じ仕事を新旧のモデルで比べると、こうなりました。
旧モデルと比べて | |
|---|---|
最初の1回(使い回すものがまだ無い) | 24%安い |
2回目以降(前の内容を使い回せる) | 59%安い |
発表の「40%」は、この24%と59%のあいだの数字でした。 最初の1回だけなら24%、同じ作業を続けるなら59%。同じ発表でも、自社の使い方では違う数字になります。
さらに、使い回しが効かない回もあります。 別のモデルでは、質問を投げるだけの使い方で、2回目の使い回しが12回中8回効きませんでした。
詳細は 「40%安い」は、キャッシュの当たり方で24%にも59%にもなったと、2ターン目のキャッシュに12回中8回乗り損ねたに書いています。
4. 手順の多い仕事ほど、新しいモデルが効く
ある新モデルは、旧モデルと1単位あたりの値段がまったく同じまま、「仕事あたり最大30%安い」と発表しました。値段が同じなのに安くなる理由は、手順を減らして終わらせるからです。
2種類の仕事で比べました。
仕事 | 新モデルの結果 |
|---|---|
手順のある仕事(複数ファイルを読んで集計) | 平均31%安い |
手順のない仕事(1ファイルを数えるだけ) | 25%遅く、費用差は16%どまり |
削れる手順が無い仕事では、新しいモデルに替えても得になりません。 乗り換えの効果は、自社がよく頼む仕事の形で決まります。
詳細は 「最大30%安い」は、手順のある仕事でだけ再現したに書いています。
5. 道具を足すときは、数より中身
AI には、手順書のような「道具」を追加できます。道具を増やすと高くなりそうですが、測るとこうでした。
増えた読み込み量 | |
|---|---|
道具を80本足した | 185 |
人気の道具を1本使った | 約9万 |
80本足しても、ほとんど増えません。 道具の一覧に使える文字数には上限があり、溢れた分は説明が削られるからです。(その代わり、説明が消えた道具は呼ばれにくくなります。)
ところが中身の大きな道具を1本呼ぶと、1回で約9万読み込みます。同じ用途の自作の道具は約3,200で、28倍の差でした。
道具の数ではなく、1本ごとの重さを見る必要があります。
詳細は スキルを80本足しても、増えたトークンは185だったと、呼ぶたびに9万トークン必要だったに書いています。
まとめ
- どのモデルに頼むかで9倍変わる。 仕事に見合ったモデルを選ぶのが最初
- 途中で乗り換えると、その1回だけ読み込み直しが287倍。 請求は1回遅れて来る
- 「〇%安い」は使い回しが効くかで変わる。 同じ発表でも24%にも59%にもなった
- 新しいモデルが効くのは手順の多い仕事。 手順が無い仕事では得にならない
- 道具は数より中身。 80本で185、重い1本で約9万
AI の見積もりを比べるときは、料金表の値段より「どう使うか」を先に確かめるのが確実です。 同じ予算でも、使い方しだいでできる量が何倍も変わります。
各項目の検証データは、リンク先の記事に実測値を載せています。
生成AIを実務で使える形にするまでを、伴走して支援しています。
生成AIの導入支援・内製化支援について見る